図3 イオン液体を構成するカチオン、アニオンと一般的なイオン液体の例

図2 水にもクロロホルムにも混ざらないイオン液体
図1 通常の塩

はじめに


我々のグループでは有機合成化学を基盤として様々な機能性分子を創造しています。

有機合成化学は「化合物を作る」という単純な研究です。
もしその化合物が既知化合物でない場合、それは「世界
にない新しい分子」を生み出す事になります。我々はこの
有機合成化学を基盤として高機能性を持つ、新しい有機
分子の設計・構築を目指した研究を行っています。

 当研究室が注目し合成しているのは
イオン液体です。
イオン液体は室温付近で液体状態を示す塩です。一般的
に塩は室温では固体で、代表的な塩である塩化ナトリウ
ムは
800℃まで加熱しないと液体にはなりません(図1)。
金属であるアルミニウムの融点が
660℃であることから
考えても大変な高温であり、イオン液体は非常に特殊な
塩と言うことができます。このイオン液体の特徴として、
比較的低い粘性を示し、塩特有の性質である高いイオン
伝導性、蒸気圧はほぼゼロであるため蒸発しない。また
化学的・熱的に安定であり、引火性・可燃性もない。また、
有機化合物からなる塩であるため、デザインにより様々な性質を付与することもできます。例えばこの写真(図
2)ではわかりやすいように着色していますが、水や有機溶媒とも混ざらないイオン液体を合成する事も可能で、抽出・精製を繰り返す事により再生・再利用が可能な好環境(グリーン)溶媒と見なすことができます。また、イオン液体は有機反応溶媒であると共に触媒的要素をも併せ持つ事が示唆されている他、イオン伝導性も高く電導性媒体としての利用も可能と様々な分野において大きな期待を寄せる次世代マテリアルです




















 
我々はこのイオン液体が有機物の塩である事に由来するデザイン性の豊富さに着目し、興味深い機能性を付与したイオン液体の合成を中心に研究を行っています。


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